
JALグランドスタッフに学ぶ、おもてなしの心

【人材】
みなさん、こんにちは!
南小国町・地域おこし協力隊の白水ゆみこです。
黒川温泉も新緑の香りが心地よい季節になってきました。
今回は、この5月22日に行われた「JALグランドスタッフによるおもてなし講座」の様子をお届けします。
旅館でお客様と接するスタッフを対象に、毎年行なっているこの研修。
日々の接客でふと疑問に思うこと、日常の業務で見落としがちな小さな工夫などを再確認できる大切な機会です。
「おもてなし」とは何か?
改めてそんな問いに皆で向き合いました。
JALで磨かれた、心に寄り添う姿勢
今回講師としてお越しいただいたのは、JAL福岡空港でグランドスタッフとして働かれている島川さんと、千代丸さん。
普段は国内線でお客様のご案内やサポートを行っています。
「小さな変化に気づくこと、相手の気持ちを想像すること。」
日々の現場で実践していることを、私たちにも分かりやすく、丁寧にお話してくださいました。経験豊富ながらも、気さくで話しかけやすい雰囲気で、研修中の会話も自然とあたたかい空気に包まれます。
空港には、日々さまざまなお客様が訪れます。
ビジネスで出張される方、家族旅行で心躍らせる方、初めて日本を訪れる海外のお客様など。それぞれに、期待や不安、さまざまな思いを抱えて空港に立っています。
そんなお客様たちに寄り添うため、講師のお二人が大切にしているのは「感謝の気持ちを忘れないこと」や「誰からも、誰よりも話しかけられるスタッフでいること」。
普段から表情管理を欠かさず、目線や姿勢、身だしなみにまで心を配る。
「当たり前のようでいて、一番大事なこと」と話してくださいました。
黒川温泉でも、空港と同じような場面に多く遭遇します。
旅館の玄関先や温泉街の小道で、お客様が少し困った表情をしているのを見かけたとき、私たちは「どちらまで行かれますか?」といった声掛けをします。暑い日には、到着されたお客様にそっと冷たいお茶を差し出すことも。
以前、私が黒川温泉で働いていたときの宿には、滞在されるお客様の靴をあたためるスペースがありました。寒い冬や雨の日にも、気持ちよく宿を出発していただくためのちょっとした工夫でしたが、当時その心遣いにお客様がとても感動されていたのを覚えています。
ほんの一言、ほんの一瞬の心遣いが、旅の中に安心感を運んでくれるのだと改めて感じます。
小さな気づきを見逃さずに、何気ない会話の中でお客様の不安をやわらげる姿勢。講師のお二人が語る心がけは、黒川温泉でのおもてなしの風景と重なっています。
おもてなしはテクニックではなく「心」
おもてなしは、特別な技術や言葉だけで成り立つものではありません。
むしろ大切なのは、相手の些細な表情の変化やちょっとした仕草から「今、何を求めているのか」を感じ取ること。それは、目に見えない気持ちに寄り添う力でもあります。
講座の終わりには、参加したスタッフ一人ひとりによる「おもてなし宣言」を。
「また黒川温泉に来たいと思っていただけるような接客をしたい」
「お客様の不安に気づき、声をかける勇気を持つ」
どんな講座内容になるんだろう?と緊張気味だったスタッフたちでしたが、おもてなし宣言をする頃には「自己流だった接客を見直したい」「日々の接客でもっと表情に気を付けてみよう」といった、前向きな姿勢が伺えました。
こうして貴重な機会から生まれた、自分なりのおもてなし宣言が、この温泉街に新しい空気を運んでくれる気がしています。
「これからのおもてなし」をつくる
黒川温泉には、都会の喧騒を離れて、心を休めに訪れるお客様が多くいらっしゃいます。
私たちはお客様が喜ぶ顔を思い浮かべながら、どんな声をかけようか、どんな工夫ができるだろうかと日々考える。
そうした積み重ねが、忘れられないような特別な瞬間を生むこともあります。
同時に、その気持ちは、一緒に働く仲間への気遣いにもつながっています。
声をかけ合い、助け合いながら、より良いおもてなしを磨いていく。
その繰り返しの中に、やりがいや成長があるのだと思います。
お客様の笑顔だけでなく、仲間とともに成長した自分自身に出会える場所。
ここ黒川温泉で、私たちと一緒に「これらのおもてなし」をつくってくれる未来の仲間たちにも、共感してもらえると嬉しいです。

最後に、講師を務めてくださった島川さん・千代丸さん。
貴重な機会をありがとうございました♨
撮影/ライティング:白水ゆみこ